実務者研修は介護福祉士の試験を受けるために必ず受講しなければいけない研修です。そして、介護の仕事でキャリアアップするなら、避けて通れない研修なのです。しかも、無資格で介護の仕事が未経験でも受講資格はあります。
そんな実務者研修の全てを解説していきます。
実務者研修を取るメリット
実務者研修は給料アップが期待できる介護福祉士の資格を取得するために必要な研修です。実務者研修を取っておけば、あとは実務を積んだ後に資格を取るだけです。
また、実務者研修があれば研修の一部が免除されるメリットもあります。
介護福祉士の受験資格になる
以前は実務者研修を受けなくても、介護福祉士の資格は実務経験があれば受験できました。
しかし、現在は実務者研修+実務経験が必要です。つまり、実務者研修を受けておけば後は実務経験を積むだけで良いのです。
実務者研修は受講時間が長いので、仕事しながらよりも最初に受講済みにしておいた方が受講しやすいかもしれません。その方が、勉強に専念できます。
また、実務者研修を受けておけば介護福祉士の実技試験は免除されるメリットもあります。
サービス提供責任者として就職できる
サービス提供責任者とは、ヘルパー(介護が必要な人の家でお世話をする人)とケアマネージャー(どうやって介護すれば不自由なく暮らせるか計画を建てる人)のかけ橋になる人です。
サービス提供責任者は、実務者研修を受けておくと就職に有利です。実務者研修の一歩前の介護職員初任者でもサービス提供責任者で就職できますが、事業所は介護報酬(売上)が減ってしまいます。なので事業所からしても実務者研修を受講済みの人は重宝されます。
喀痰吸引等研修の一部が免除
たんを吸引したり、チューブなどで栄養を注入するのは医療行為とされていました。しかし現在は法律が変わり、介護士でも研修が終わっていればできます。(ただし、喀痰吸引等研修の実地研修は受講しなくてはいけません。)
介護が必要な人の自宅や老人ホームでなどで、たん吸引やチューブでの栄養注入は行われています。そのため、実務者研修を修了していればできる事が多くなり、就職に有利です。
無資格でも取れるの?難易度は?
実務者研修だけならば、無資格で介護の仕事が未経験でも受講できます。しかし、介護の仕事が未経験だとベースがないため、理解しにくいかもしれません。
そもそも実務者研修の前に入門の研修である介護職員初任者研修があり、それよりも専門的な講座なので、難易度は決して優しくありません。
無資格でも取得可能
実務者研修は無資格で、介護の仕事未経験でも受講できます。しかし、講座の生徒の大半は介護職員初任者研修やヘルパー2級を持ってる人です。
介護の仕事を経験してるなら講座は問題なく理解できるかと思いますが、無資格未経験だと、実務者研修の前に介護職員初任者研修を受けておいた方がお勧めだと民間スクールのホームページには記載があります。
ただ、無資格でも頑張れるという強い意識があって勉強できるなら、頑張っていけるでしょう。座学なら振り返りをする、実技試験があるなら練習するなどです。また、周りは有資格者や経験者が多いため、参考になる事がたくさんあるはずです。
そして、無資格で未経験なら自分のやり方など変な癖は付いていないので、吸収しやすいでしょう。
実務者研修は修了試験が必須じゃない
実務者研修は試験があるスクールもあれば、ないスクールもあります。試験があるスクールは最後に復習や練習をする機会があり、試験に望める場合があります。
そして、修了試験があった場合の難易度はスクールによって違います。しかし、試験がないスクールが良いとは言えません。内容を理解しなければ、介護福祉士の試験の役に立たないからです。
実務者研修の試験は内容を理解してるかのまとめであり、不合格を決める選抜ではありません。そのため、もし試験に不合格でも追試など合格になるようにスクールがサポートしてくれるはずです。
自宅学習の範囲が広い点に注意
介護職員初任者研修の場合、通学(スクーリング)のみだと16日間が研修期間です。学習時間は130時間で、修了試験が1時間となっています。
また、通信だと自宅での学習時間は130時間のうち40.5時間です。通信なら1か月ほどで資格取得ができます。
しかし実務者研修の場合、学習時間が389時間と初任者研修と比べものにならないぐらい長いです。無資格の場合、6か月ほどの学習時間が必要になります。そして、スクーリングが7回前後あります。
さらに実務者研修の場合、初任者研修など取得してる資格によっては学習時間が短くなります。初任者研修を修了しているなら学習時間はぐっと短くなり、最短で2か月ほどで実務者研修が修了します。
実務者研修は学習時間が長いので、自宅での学習がポイントです。課題をこなして提出するのを続け、修了へと導きます。
実務者研修の取得には最短でどのくらい掛かる?
実務者研修の取得方法は、通学と通信があります。無資格の場合は450時間で、6か月ほどかかりますが、 介護の資格があると学習時間を短縮できます。
全カリキュラムは450時間
すでに何回か書いたように、実務者研修の基本的な学習時間は450時間です。内容とそれに当てる時間を全ては書けませんが、一部を要約すると学習内容は以下です。
・人間の尊厳と自立が5時間
・コミュニケーション技術が20時間
・発達と老化の理解が1と2で30時間
・認知症についてが30時間
・医療用ケアが50時間
などです。介護に臨む姿勢や介護と社会についてなど、基本的な事を実務者研修で勉強します。また、認知症の理解や介護者の体や心などを理解する他に、医療ケアや技術関係など職場ですぐに役立つ事も学びます。
介護職員初任者研修と内容が一緒の学習もあり、それをさらに深く追及するのが実務者研修の内容です。だから学習時間が長いのです。
持ってるヘルパー資格によってかかる時間は大きく変わってくる
実務者研修は無資格だと450時間で、学習目安は6ヶ月です。しかし、以下の資格があると学習時間は短縮されます。
・介護職員初任者研修があると320時間で目安は3ヶ月間
・ホームヘルパー一級があると95時間で、学習目安は2ヶ月間
・ホームヘルパー二級があると320時間で、学習目安は3ヶ月間
・ホームヘルパー三級があると420時間で学習目安は3ヶ月間
・介護職員基礎研修があると50時間で学習目安は1ヶ月間
以上です。レベルが高い資格ほど、学習時間を短縮できます。
ホームヘルパー二級は介護職員初任者研修と同レベルなので、学習時間は一緒です。また、ホームヘルパー一級は実務者研修と同レベルですが、学習時間が必要です。
初任者研修から取るのがおすすめな人
実務者研修から介護の資格者を取る道もありますが、初任者研修から資格を取った方が良い人もいます。特に介護の仕事が未経験ならば、初任者研修の方が優しいのでおすすめです。
介護職の経験がない人
介護職の経験がないと、具体的にどんな仕事なのかなどイメージしづらいですよね。そのため、介護の仕事が未経験ならばいきなり実務者研修ではなく、介護職員初任者研修の受講をおすすめです。
また、実務者研修は訪問介護の責任者であるサービス提供者(サ責)になれる研修ですが、実際には介護の仕事に未経験でサ責になるのは厳しいです。どんな仕事の世界でも、業界未経験の店長はいませんよね。
そのため、仕事に慣れてから実務者研修を受ける、または介護職員初任者研修を受けてから仕事をし、実務者研修を受けるのがスムーズです。
もちろん未経験で実務者研修を受けるのがいけない訳ではありませんが、キャリアアップを考えてるなら介護職員初任者研修をまずは受けるのがスムーズです。
資格を取って早く就職したい人
実務者研修は無資格だと6ヶ月ほどの研修期間が必要です。その間は無職でいるのが難しい人は多いですし、子育てや親の介護をしながらでも勉強するのは難しいですよね。
もし早く資格を取って就職したいのなら、介護職員初任者研修がおすすめです。初任者研修の方が1ヶ月ほどの学習期間で資格取得できますし、早ければ15日ほどで資格取得できます。
初任者研修の資格を取得しておけば、実務者研修の学習時間は3ヶ月ほどと大幅に減らせます。そのため、まずは初任者研修を受けておくのは遠回りではありません。もし早く仕事したいのなら、まずは短い期間で取れる初任者研修の方がおすすめです。
自宅学習に自信がない人
実務者研修は長い学習期間なので、自宅での学習範囲が広いです。また、実務者研修は修了試験があるスクールもあります。そのため、自宅での学習が試験合格や内容理解のポイントです。
もし自宅では家事や子育て、親の介護などに忙しいという人は、実務者研修よりも初任者研修を選んだ方が良いです。初任者研修なら学習時間が短いため、自宅学習も実務者研修よりは楽でしょう。また、初心者研修は通学ならば、初心者にも分かりやすいように講義が進んでいくため、理解しやすいです。
自宅学習が苦手、一人で勉強すると眠くなるなど、自宅学習が苦手だと6ヶ月の学習期間は苦痛になる可能性があるので、初心者研修の方が受けやすいでしょう。
実務者研修の取り方
実務者研修は独学ではなく、スクールなどの講習があって取得します。通信で自宅学習しながらでも取得できますが、どこかしらの講座に申し込まなければいけません。そして、どこに申し込んだかで費用は大きく変わります。
民間のスクール
実務者研修を受ける講座で代表的なのが民間のスクールです。有名で大手の講座だと、ニチイや三幸福祉、未来ケアなどのスクールで実務者研修が受けれます。
民間スクールで実務者研修を受けるメリットは、自分の都合に合わせてカリキュラムの日程を選べる点です。地域にもよりますが、土日のみの講座や平日中心の講座、火曜日と金曜日だけなどの曜日を指定した講座などがあります。働きながら講座を受けやすく、欠席したら振替講座を行うなどの配慮もあります。
しかも大手のスクールならばネットワークを生かし、就職サポートまであります。また、大手スクールだと介護福祉士対策講座など試験対策になる講座も受けれます。
デメリットは、民間スクールだと費用が高い点です。無資格だと10万円以上するスクールがほとんどです。
介護施設や医療法人
老人ホームやデイサービスでも実務者研修を開催してる場合があります。もし働きたい施設で実務者研修が受けれるのなら、そこで研修をしてそのまま就職できる可能性があります。
しかし、介護施設や医療法人は本業が講座開催ではありません。そのため、年に1回の開催など開催日程が少ないです。また、その施設でしか就職しずらいのがデメリットです。実務者研修は6ヶ月間と長いため、施設の噂や心境の変化からそこに就職をしたくないなと思ったら、研修がやりずらくなります。
また、施設や医療法人は従業員の育成のために開講してるのであり、アルバイトや就職前の人は受講できないかもしれません。
自治体(県、市、町)
就職や介護業界をサポートするために、自治体が実務者研修の講座を主催してる場合があります。自治体が主催なので、講座は無料、テキスト代だけ払うなど格安で実務者研修が受けれます。
しかし、講座自体が不定期開催で定員が決まっているなど、受講が難しい可能性があります。また、欠席した時は振替ができないなどカリキュラムに自分が合わせないといけないのがデメリットです。
ハローワーク
仕事を探してる人限定ですが、ハローワークでも実務者研修が受けれます。しかも無料で受けれますし、収入が少ないなどと認められれば給付金が月に10万円ももらえます。職業訓練としての講座なので、自治体と同じく無料かテキスト代だけなど格安なのです。
しかし、デメリットは自治体と同じように振替ができず、平日の連日受講のみの可能性がある点です。また、いつでも実務者研修が受けれるのではなく、開催日数が少ないです。
さらに遅刻や欠席などをしたら医師の診断書が必要になるなど、不測の事態に弱いのもデメリットです。また、ハローワークが主催してるだけであり、実際の講座会場は市外など遠方の場合もあります。
介護福祉士を狙う人は修了予定日に注意
実務者研修を終えて介護福祉士の資格を狙う場合は、介護福祉士の試験までに実務者研修を終えなければいけません。
介護福祉士の試験は毎年1月です。つまり、その前日までに実務者研修を終えていなければいけないのです。1月に間に合わない場合は、来年まで試験は受けれません。
そして、実務者研修には修了試験があるスクールもあります。修了試験は内容が理解していれば合格になりますが、不合格になると補習があります。もしスケジュール通りにいかなければ介護福祉士の試験を受けれないので、余裕を持って実務者研修を受けましょう。
実務者研修まとめ
無資格で未経験でも、自宅学習を頑張る、理解するまで勉強すると意思が強い人ならば実務者研修は修了できます。しかし、早く就職したい、自宅学習が苦手だというなら、初任者研修から受けた方がおすすめです。
どちらにしても資格があれば仕事に活かせるので、資格はある方が良しです。